ハナハナ パチスロ

医療容器用ポリエチレンの薄肉化

私たちの身の回りにあふれるプラスチック。食品容器や文具、レジャー用品や住宅建材など、多岐にわたって使用され、生活に豊かさをもたらす一方で、プラスチックごみが適切に処理されず、海洋汚染や土壌汚染など、さまざまな問題を引き起こしています。2019年には政府よりプラスチック資源循環戦略が策定され、「2030年までにワンウェイ(使い捨て)プラスチックの排出量を25%削減する」という目標が掲げられました。

これにより、脱プラスチックやリサイクルの動きが強まったものの、医療容器分野では安全性の観点から使い捨てを基本とするため、リサイクルが難しく、対策が進んでいませんでした。そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大により、新たに数万トンの医療廃棄物が発生。世界保健機関(WHO)が「人と環境の健康を脅かしている」との報告書を発表したほど、医療廃棄物の問題は深刻さを増しています。

ハナハナ パチスロ

ハナハナ パチスロポリエチレンは幅広い用途で使用されていますが、一部グレードはクリーン性に特徴があり、輸液バッグや点眼薬などの医療容器に使われています。このことから、リサイクルは難しくとも薄肉化(うすにくか)が実現すれば、ワンウェイプラスチックの排出量削減につながると考え、医療容器の「輸液バッグ」において、性能を維持したまま薄肉化することを目指し、材料ハナハナ パチスロに挑戦しました。

目次


1 | 求められる特性と、立ちはだかる課題


2 | ハナハナ パチスロ取り組み


3 | 人にも環境にも優しい医療容器を目指して


4 | 関連情報

求められる特性と、立ちはだかる課題

医療容器に求められる特性は、主に以下の4つが挙げられます。

特性
耐熱性 熱滅菌に耐える
透明性 内容物を視認する
ガスバリア性 内用液の成分濃度を維持する
耐久性 外部からの衝撃に耐える

医療容器に多く使われるポリエチレンは、結晶化度を高めると耐熱性・ガスバリア性が向上する一方、結晶サイズが大きくなるため透過光が散乱し、透明性を損ない白くなる特性があります。そのため輸液バッグでは、それぞれの機能を持つポリエチレン製フィルムを積層することで、機能を両立させています。

そんな輸液バッグの薄肉化には、その耐熱性・透明性を維持したまま、薄くすることで低下するガスバリア性を向上させることが必要です。また医療容器であるゆえ、物性を向上させる添加剤を使用せずに、薄肉化を実現することも求められました。

内外層…耐熱性に優れた高結晶度ポリエチレン
中間層…透明性に優れた低結晶度ポリエチレン

ハナハナ パチスロ
従来の医療容器用ポリエチレンの多層フィルム 断面イメージ
  • プラスチック固体の結晶領域と非晶領域との全体の中で、結晶領域が占める重量の割合を算出したもの

ハナハナ パチスロ取り組み

ハナハナ パチスロでは、既に医療容器用ポリエチレン向けに耐熱性と透明性を両立したグレードを取り扱っています。輸液バッグ用(内外層・中間層)にも複数ラインナップし、ポリエチレン容器では従来不可能とされていた121℃までの滅菌処理も可能です。今回の材料開発においては、既存製品の開発で培ったノウハウの中でも「結晶構造」に着目しました。

医療容器用ポリエチレンは、分子構造の最適化により結晶構造を制御することで、結晶化度が高くても(耐熱性を維持しても)、結晶サイズが大きくなることなく透明性を保つことが可能です。
この結晶構造は、本来薄肉化すると低下するガスバリア性にも有効で、結晶構造を維持しつつ結晶化度を極限まで高めた結果、ガスバリア性を維持した内外層用グレードのハナハナ パチスロに成功しました。

25%の薄肉化した医療容器用ポリエチレンの多層フィルム 断面イメージ

さらに厚みの最適化にはMIツールを活用して検討を行い、内外層の厚みを少し増やし、かつ中間層の厚みを大幅削減したところ、全体的に薄くなっても各性能は良好なバランスに! こうして性能はそのままに25%の薄肉化を実現し、輸液バッグとして使用可能なフィルムが完成しました。

人にも環境にも優しい医療容器を目指して

世界の人口は増加の一途をたどっており、環境問題は人類にとって解決しなければならない重要な課題です。医療業界において薄肉タイプの輸液バッグが一般的になれば、医療廃棄物の削減のみならず、製造に必要な原料やエネルギーも削減され、環境問題解決の一助になると考えています。

ハナハナ パチスロポリエチレンから造られた「ヒトにも地球にもやさしい医療」をお届けするために、今後も多様化するニーズに対応すべく新グレードの開発に取り組んで参ります。

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